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外国特派員協会 記者会見レポート

2024/07/02(火)

7月1日、外国特派員協会記者会見が東京・公益社団法人 日本外国特派員協会(FCCJ)にて行われ、主演の越山敬達さん、共演の中西希亜良さん、池松壮亮さん、奥山大史監督が登壇しました。

カンヌ国際映画祭帰国後、初のイベントとなったこの日、記者たちの拍手迎えられ少し緊張の面持ちで登場した4人。上映を見終わったばかりの熱のこもった記者からの質問に、ときに真剣に、ときに笑顔で真摯に答えていく姿が印象的でした。

主人公の少年・タクヤを演じ、本作が映画主演デビューとなった越山さんは「スケートをしながらの演技は難しかったか?」という問いかけに対し、「湖の撮影の時に、自然の氷なので凄くゴツゴツしていたんです。なので、たくさん転んでしまって。その時に右膝を3回もリンクに叩きつけて痛すぎて、泣いちゃいました」というエピソードを披露し照れ笑い。

フュギュアスケートを学ぶヒロインの少女・さくらを、100名以上が参加したオーディションを経てヒロインに大抜擢され、本作が演技デビューとなった中西希亜良さんも、「私も同じ撮影を思い出します。自然に氷が張った湖だったのですが、私も長くスケートをやっていますが、あそこまでデコボコしているとは、予想していなくてびっくりしました。でも、撮影を通じて非常に楽しい時間を過ごさせていただいたので、難しかったということをいつの間にか忘れていました」と回顧。
日本語、英語、フランス語のトリリンガルということもあり、質問にすべて流暢な英語で答えると、会場からも笑みがこぼれます。

一方で、夢に敗れた元フィギュアスケート選手のコーチ役として、今作で初めてアイススケートに挑戦した池松さんは、「このお2人はもうすでにとても上手だったので、2人の足を引っ張らないように頑張ったんですけど、 奥山さんも元々スケートをやられていて、カメラも自分で回していますから、カメラを担いで滑ってるわけです。なので、僕はみんなに置いていかれそうになりながら必死についていきました(笑)。湖のシーンでは特に音も必要なかったので、この4人でひたすら2日間滑りました。遊ぶように滑って撮影しました。この光景は、もう一生忘れないだろうなと。驚くべき瞬間だったなと思います」と、笑顔を見せながら充実した時間を回顧しました。

そして、池松さんが明かしたように、スケートを滑りながらカメラを担いでいた奥山監督は「滑りながら撮っていたので、カメラマンとしても凄く新鮮で楽しい時間でした」とし、「特に最後のほうのシーンで印象的なところがあって。中西さんが1人で滑っている場面では距離を取ってリンクの外から撮っていたんです。とても疲れていたと思うのですが、『もう1回挑戦したい』と言ってきて。この映画への熱量が始めのころよりも高まっているのを感じて嬉しかったですね」としみじみと語りました。

また、映画初出演となった中西さんは「最初はとても緊張していましたし、(演技を)どうやったら正しいのかもわかっていなかったのですが、ありがたいことに、やはり長年スケートをやってきた経験を活かすことができたので、演技には力足らずかもしれませんが、スケートの技術で補うことができたと思うことが多かったです。そもそもスケートをしていなかったら、この役を獲得することもできなかったので」と、自身の経験に胸を張り、「それでもまだまだ色々努力しなければならないところはあると思っています」と13歳になったばかりとは思えない芯のあるコメントで記者たちを驚かせました。

さらに、池松さんの自然な演技を称える声が記者から上がると、池松さんは「とてもシンプルで余白の残った脚本を奥山さんが用意してくれたんです。みんなで撮影しながら物語の余白を埋めていきたいと強く望んでいて、俳優として役人生にとってのスペースをもらったような気がしました。撮影していく中でどんどん膨らましていったり、即興で作ったりしました。特に2人(越山さんと中西さん)には脚本を渡さず、その場でセリフを伝えて馴染ませていくような作業でしたので、そういう意味で珍しい撮影の進めかただったと思います」と、監督の演出力にも言及し、新しい体験に充実感を滲ませました。

そんな撮影手法を回顧しながら、越山さんは「自然体で演じることができたのでやりやすかったです」とし、中西さんも「演技が初めてだったので多くを語ることはできませんが、もちろん私とは別の誰かを演じているわけですが、キャラクターを演じているというよりも、自分自身の姿もそこにはありました。とてもやりやすかったです」と笑顔を見せました。

今回のキャスティングについても質問が及ぶと「スケートができること」が一つの条件となっていたため、「越山くんは運よく出会うことができましたが、“さくら”役を決めるのが難しかった。でもスケート協会の方に協力していただき、募集のポスターを張らせていただいて中西さんが応募してきてくれたんです。彼女に出会えたことは幸せだったと思います」と奥山監督は感慨深げ。

これまでも10代の俳優との共演は経験している池松さんも、越山さんと中西さんとの撮影について問われると、「役を演じる以上にそれぞれが辿ってきた人生をそのまま役に乗せていて。本当に2人とも非常に魅力的で。奥山さんがそういう2人を選んでくれたのですが、僕も2人に引っ張られながらどうサポートできるのか、2人に物語の中に没頭してもらえるか、微力ながら本当に一生懸命コーチ役として物語を超えてサポートできたらと思って、必死に頑張りました」と温かなまなざしで語りました。

最後に、奥山監督は「スケートは特に選手生命が短いんです。一度夢を諦めた人が、再びリンクに訪れると独特の艶やかさや色っぽさをもっているように感じます。それ(独特の艶やかさ)を池松さんにも感じました」と荒川というキャラクターが生まれたきっかけについて話し、荒川と五十嵐、吃音を持つタクヤ、東京から来たさくらが、どこか疎外感をもって生きているキャラクターたちが共鳴しあうような物語を作りたかった、と明かし締めくくりました。

会見が終わったあとも奥山監督やキャストの皆さんに多くのラブコールが贈られ、充実の会見となりました。
今後も9/6の先行公開に向けて随時ニュースを更新していきます。
どうぞお楽しみに!

映画『ぼくのお日さま』

《あらすじ》
吃音のあるアイスホッケー少年・タクヤ(越山敬達)は、「月の光」に合わせフィギュアスケートを練習する少女・さくら(中西希亜良)の姿に、心を奪われてしまう。ある日、さくらのコーチ荒川(池松壮亮)は、ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似て何度も転ぶタクヤを見つける。タクヤの恋の応援をしたくなった荒川は、スケート靴を貸してあげ、タクヤの練習をつきあうことに。しばらくして荒川の提案から、タクヤとさくらはペアを組みアイスダンスの練習をはじめることになり……。

監督・撮影・脚本・編集:奥山大史
出演:越山敬達、中西希亜良、池松壮亮、若葉竜也、山田真歩、潤浩ほか
主題歌:ハンバート ハンバート 
本編:90分
配給:東京テアトル 
(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

9/6 (金)〜 9/8(日)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテにて3日間限定先行公開
9/13(金)より全国公開