満席となった教室で、温かい拍手で迎えられた奥山監督と池松さん。
監督は「初めてこの大学に来ましたが、感激しています。こんな充実した設備があるんですね」と笑顔を見せ、久しぶりに母校におとずれた池松さんは「実は、今日の試写は、一般の方に初めてのお披露目なんです。自分の母校ということもありますが、これから未来に羽ばたいていく皆さんにお届けできるということは本当に光栄だなと思っています」と感慨深げな様子でした。
まず、司会をつとめた映画学科の志村三代子教授から、3人のスケートシーンについて「どのように撮ったのか?」と問われた監督は「自分もスケートの経験があったので、スケート靴を履きながら撮りました」と説明。
さらに、「スケートリンクではけっこう照明にもこだわって、窓の数だけ大きい照明器具を用意してもらいました。基本的にスケートのシーンはドキュメンタリーで、台本には“だんだん上手くなっていく3人”としか書いてなく、池松さんに子どもたちを演出していただきながら演技をしてもらいました。ほとんどアドリブでしたね」と振り返りました。
「スケートがお上手でしたね」と言われた池松さんは「上手じゃないですよ。ごまかし、ごまかしね・・・(笑)」と照れながら、「これまでも色々なことに取り組ませていただきましたが、今までで一番難しかったです」と本音も。
「奥山さんも監督をしながらカメラを回して、実際に滑りながら撮影していますから。湖のシーンは4人で2日間カメラを回しっぱなしでした」と苦労を語りました。
また、自身のクランクインが越山敬達さん演じるタクヤと、中西希亜良さん演じるサクラとの3人のシーンだったこともあり、「子供たち2人には脚本を渡していないので、カメラの前であらかじめ決められたことをやるというよりも、新鮮に物語と出会っていくというスタイルだったんです。なので、どうしても自分がコーチ役として2人を導いていかなければいけなかったですし、とにかく2人のキラキラした輝きをどれくらい映画に残していけるかが重要でした。俳優は皆そうですが“人は反射するもの”なので、構えることなく本当に心を通わせるということの一点勝負だったと思います」と語りました。