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9/7(土)映画『ぼくのお日さま』先行公開舞台挨拶レポート。

2024/09/08(日)

全てはこの歌から始まった。
ハンバート ハンバートさん登壇!

映画『ぼくのお日さま』の先行公開記念舞台挨拶を、9月7日(土)にテアトル新宿とTOHOシネマズシャンテにて開催!越山敬達さん、中西希亜良さん、池松壮亮さん、ハンバート ハンバートの佐藤良成さんと佐野遊穂さん、奥山大史監督が登壇しました。本レポートでは、TOHOシネマズシャンテでのイベントの模様をお届けします!

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先行上映を見終えたばかりのお客様に温かく迎えられ、まず本作で映画初主演を務めた越山さんから「みなさまにこの作品をひと足先に見ていただけて嬉しいです」と挨拶。演技初挑戦となった中西さんは緊張した面持ちで「みんなで大切につくった映画をご覧になってくださって、とても嬉しいです」と語り、初めて目にする映画の撮影の現場で驚いたことを尋ねられると「いっぱいあるんですけど、映像に映っていない部分がとても多くて、こんなに多くの人が関わって、協力し合って映画をつくっているんだなと思いました」と初々しく話しました。

奥山監督は「ハンバート ハンバートさんの音楽に出会うことで『映画をつくってみたい』と思い、池松さんと出会うことで『この人に出てもらえたら映画になるかもしれない』と信じさせてもらい、越山さんと中西さんに出会い『これはいま、つくるしかない!』と思えました。そう思わせてくださった皆さんとこの日を迎えられて、本当に嬉しく思っています」と感慨を口にし、会場から温かい拍手が湧き起こります。

タクヤ役を演じた越山敬達さん

4歳の頃からアイススケートを習っていた越山さんも、アイスホッケーとアイスダンスは今回が初挑戦。奥山監督から「アイスホッケーはすごく嫌そうでした。あの防具を着けられると毎回、不機嫌になっていました(笑)」と証言。越山さんは「防具がガンダムみたいで重くて!動きたくてしょうがない僕からすると、動けないことが本当に嫌でした」と苦笑交じりに告白。

奥山監督は、スケートのシーンについて「台本の記述がほとんどないし、そもそも台本を2人には渡していなかったですし、池松さんや他のキャストのみなさんに渡したのも薄いもので『だんだん上達していく3人』くらいしか書いてないんですが、池松さんがコーチっぽい言葉をアドリブで言ってくださって、それに2人が応える形で、ドキュメンタリーを撮っている感じでした」と明かし、客席は驚きに包まれました。

越山さんは、シーンによっては初心者のように転ぶなど、アイススケートが上手ではない演技を求められたそうで「初心というか、習い始めた最初の頃はどんな感じだったかと思い出しながらやっていました」とふり返ると、コーチ・荒川役を演じた池松さんは、そんな越山さんを絶賛!「本当にびっくりしました。『敬達、多分タクヤは、まだそこまで上手じゃないよ』と言うと『OK!』って。希亜良もそうですけど、ひと言伝えるだけで、ムードやエモーションを掴むのが本当に上手で『すごいな』と日々、感動して見ていました。もう可能性の塊でしたね」と2人を賞賛しました。

さくら役を演じた中西希亜良さん

次に、本作がハンバート ハンバートの楽曲「ぼくのお日さま」に奥山監督が着想を得たことをきっかけに誕生したことに触れ、佐藤さんは奥山監督から同楽曲を主題歌と映画のタイトルとして使用したいという手紙を受け取った時のことを回顧。「手紙を読んで、奥山監督の熱意、真剣さ、誠実さが伝わってきて、その時点で『これはきっと良いんじゃないかな』と思いました。その後、監督の前作『僕はイエス様が嫌い』を拝見して、ものすごくきれいで『これは絶対一緒にやりたい』と快諾しました」と経緯を明かしました。

さらに佐野さんは「良成から話を聞いて、監督の『つくりたい』という気持ちがすごく強いんだというのがわかりました。いろいろお誘いをいただくことはあっても、なかなか『どうかな…?』みたいなことが多いんですが、これはもう本当に強い気持ちが伝わったんだなと思いました」と振り返りました。

奥山監督は「プロットを書き終わった時、すごく楽曲に影響を受けていたので、これをエンドロールでかけたい――かけられないなら企画として成立しないかもしれないと思っていたので、『快諾します』という返事をいただけて嬉しかったですし、『やっと2本目ができる』、『やっと商業映画デビューできる』と嬉しさと安堵の気持ちでいっぱいでした」と語りました。

監督・撮影・脚本・編集を手掛けた奥山大史監督

ハンバート ハンバート佐藤良成さん

また、完成した映画についても佐野さんは「音楽を映像にすると、映画の設定があったり、具体的な登場人物が動き出すことで、ともすれば、音楽の余白をだいぶ残している部分を限定的にしてしまう危険性もがあると思うんですけど、今回そういうことがなく、映像にすることによってさらに想像力が膨らむような感じで『世界が広がったな』という気がしています。ご一緒できてよかったです」と笑顔。
さらに先ほどのスケートのシーンの撮影の演出に関する奥山監督の話に触れ「台本が薄く、指定があまりなかったと、いま初めて知りましたが、そういう演出だったからこそ限定的にならず、広がっていったんだなとわかりました」とうなずきました。
佐藤さんは、映画の終盤で、越山さんが演じるタクヤが見せる表情に触れつつ「それを見て胸がいっぱいになって…。本当に良い映画に出会えてよかったなと、こっちの方が感謝です」と嬉しそうに語ってくれました。

ハンバート ハンバート佐野遊穂さん

そんな中、奥山監督、越山さん、中西さん、池松さん、佐藤さんが本作を携えて第77回カンヌ国際映画祭にも足を運んだときの思い出を尋ねられると、佐藤さんは「77回もやっているにもかかわらず、段取りがグチャグチャで、いいかげんな感じがすごかったです(笑)。いまから専用の黒塗りの車で出発という時に、運転手が警察官に職務質問で連れていかれたり『どうなるんだ?』ということも多くて面白かったです」と思わぬ回答。

また、カンヌが初海外となった越山さんは「ヨーロッパの文化に追いつけず、お風呂のドアの閉め方が全然わかんなくて、『どうすれば閉まるの…? ま、いっか』って入っていたら、外の脱衣所が浸水していました」と失敗談を告白。現地で初めて食べた生牡蠣に「どっぷりハマってしまいました」と明かすなど、てんやわんやのカンヌ裏話に会場からも笑いが。

中西さんはレッドカーペットの様子について「目の前がミシェル・ヨーさん、後ろがケビン・コスナーさんで、すごい面々に挟まれて『わー!』みたいな(笑)」と感動と興奮を明かすと、そんな2人のトークを温かく見守っていた池松さんから、「敬達に『いろんな人がいたけど誰が一番感動した?』と聞いたら『ゆりやんレトリィバァさん』でした(笑)」と暴露され会場は爆笑に包まれました。

さらに池松さんは「カンヌ映画祭にものすごく感動して2人も泣いていて。帰りの車で『よかったね。いい経験になったね。でもこれで終わりじゃないかもしれないよ、この映画で釜山国際映画祭とかに行くかもしれないよ』と言ったら、2人とも『韓国の方が行きたい!』と目を輝かせて。まさかの、カンヌよりも韓国でした(笑)」と明かし、天真爛漫な2人の魅力を伝えました。

奥山監督は、やはり公式上映が忘れられない思い出になったようで、「ある視点」部門の審査委員長のグザヴィエ・ドランやコンペティション部門の審査委員を務めた是枝裕和監督らが本作の公式上映に足を運んでいたことに触れつつ「ずっと背中を追いかけてきた監督たちが見に来てくれて、『あの人もいるんだ!』と緊張もしましたし、すごく光栄でした。上映後にみんなと拍手を受けられのはすごく幸せな時間で、つくってよかったと心から思える時間でした」としみじみと喜びを語りました。

池松壮亮さんと越山敬達さん。

舞台挨拶の最後に、池松さんは改めて、越山さんの初主演、中西さんの映画初出演、そして奥山監督の商業映画デビューを「本当におめでとうございます」と祝福。
そして「いまから3年前くらいに奥山さんから、まだ脚本になる前の6ページくらいのプロットと2枚のお手紙をいただいたんですが、その最後に『いまだからこそ優しい映画をつくりたいんです』と真っすぐに書かれていました。ふり返って、本当にその通りになったなと思います。この現実世界を映画でカバーしていくような奥山さんの感性にとても共感できましたし、こういう新たな時代に向けた、雪解けのような映画をつくってくれたことを心から感謝しています。温かくてピュアで美しくて静謐で優しい映画になったこと、それを一緒につくり上げることができたことを誇りに思っています」と感謝と感動の言葉を口にしました。

奥山監督は「最初に池松さんにお話をして、プロット段階で『出ます』と言ってくださり、共犯関係というか、ずっとここまで並走し続けてくださって、心から感謝しています。一緒につくり上げてくださったスタッフ、キャストのみなさんにも感謝をお伝えしたいです」と池松さんをはじめ、映画に携わってきた全ての人々への感謝の思いを吐露。そして客席に向けて「こうやって見に来てくださる方がいてこそ映画は上映し続けられるので、ぜひ楽しめた方は、お薦めしていただけると嬉しいです」と呼びかけ、温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じました。

映画『ぼくのお日さま』

《あらすじ》
吃音のあるアイスホッケー少年・タクヤ(越山敬達)は、「月の光」に合わせフィギュアスケートを練習する少女・さくら(中西希亜良)の姿に、心を奪われてしまう。ある日、さくらのコーチ荒川(池松壮亮)は、ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似て何度も転ぶタクヤを見つける。タクヤの恋の応援をしたくなった荒川は、スケート靴を貸してあげ、タクヤの練習をつきあうことに。しばらくして荒川の提案から、タクヤとさくらはペアを組みアイスダンスの練習をはじめることになり……。

監督・撮影・脚本・編集:奥山大史
出演:越山敬達、中西希亜良、池松壮亮、若葉竜也、山田真歩、潤浩ほか
主題歌:ハンバート ハンバート 
本編:90分
配給:東京テアトル 
(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

9/6 (金)〜 9/8(日)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテにて3日間限定先行公開
9/13(金)より全国公開