こうして公の場で兄弟そろって対談するのは、奥山大史監督の長編1作目である『僕はイエス様が嫌い』が公開された時におこなったトークショー以来だというお二人。
事前に本作を観た由之さんは、「本編を観させてもらう前に、この作品の予告を見た瞬間、もちろん主人公のタクヤもだけど、タクヤの友達のコウセイがまるで昔スケートをやっていた頃の大史を見ているようでした。かつ、本編を観て、この映画全体の佇まいから、昔一緒に過ごしていた時間とか、大史自身がそこに映っている感触がありました」と感想を述べ、「心に残る作品は、作り手自身をスクリーン越しに見ている感覚になれるものだと思うんですが、そういった作品作りはなかなかできることではないので、作り物をしている一人として羨ましくもありました。作品作りにはたくさんの人が関わり、いろんな条件、事情があるなかで、本来描きたいものがぼんやりしてしまいがちな中で、大史がつくりたいものにスタッフやキャストの皆さんが共鳴して、本当に良いチームで作れているんだなということが伝わってきました」と、同じクリエイターとしての視点で賛辞を贈りました。
続けて、「兄弟の中でも末っ子の可愛かった大史が、自分が作りたいものをピュアなまま作品として完成させられて、こうしてお客さんに届けられたのは、周りの人に感謝だね」と語りかけると、大史監督も「本当にやりたいようにやらせてもらえましたし、周りの方々に助けられました」と、スタッフへの感謝を改めて伝えました。