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橋口亮輔監督×奥山大史監督対談イベントレポート。

2024/09/30(月)

映画『ぼくのお日さま』の公開を記念して、『ぐるりのこと。』や『恋人たち』などで数々の映画賞を受賞し、今年9年ぶりの新作『お母さんが一緒』が公開された映画監督・橋口亮輔監督と本作の奥山大史監督の対談イベントが開催されました。

もともと橋口監督の大ファンだった奥山監督が、7月に都内で開催された橋口監督の過去作特集上映に、トークイベントゲストとして登壇したことをきっかけに今回の対談が実現。

2015年、学生の頃に橋口監督の『恋人たち』を観に公開初日にテアトル新宿へ駆けつけていた奥山監督は、自分の新作のトークイベントで、同じ劇場で橋口監督とともにステージに立っていることを「あの頃の自分に、こんな将来が待っていることを伝えたい」と感慨深く話しました。

橋口監督は、サンセバスチャン国際映画祭から帰国したばかりの奥山監督に対して、「いかがでしたか?反響が良かったみたいですね?」と質問。奥山監督は「すごく映画愛に溢れる人ばかりでした。客層も若く、熱気もあって幸せな空間でした」と、全回満席となった凱旋上映について振り返りました。

そして、現在出品が決まっている映画祭が30以上あり、そのうち10つは参加予定だという奥山監督が「橋口さんもデビュー当時はたくさんの映画祭へ参加されていましたよね?」と問うと、「若いうちは映画祭に行って“顔を売る”のが大切。何年も経つとそこに参加していた方がいいポジションになって、『奥山の新作を招待したいと思っていた』と言ってくれる人がでてくるよ」とアドバイスをしました。

その後、『ぼくのお日さま』について橋口監督は、【心が痛いと感じた時、大人になる】という自身の好きな詩を例に、とある劇中のセリフを受け止める池松壮亮さんが演じる荒川の対応をあげ、「『今まさに痛みを感じた』という瞬間がきちんと描けていることが、良かった」と感想を伝えました。

そして、公開後本作に対してSNSなどで寄せられる賛否の意見に、少し戸惑いも感じていることを明かした奥山監督に対して「作り手の勇気だと思います」と断言。
1993年に橋口監督が世に送り出した、同性愛を題材にした映画『二十才の微熱』を振り返り、「今みたいにSNSがある時代ではなかったですが、当時2ちゃんねるでいろいろ書かれていました。でも自分の作るものに自信があったので、誰に何を言われても平気でした。だから、作り手が『作るものに対して自信を持つ、勇気を持つ』ということが大切だと思います」と先駆者ならではの力強いメッセージを送りました。

その後、『恋人たち』の主演を務め、『ぼくのお日さま』にも出演する篠原篤さんの話題で盛り上がる二人。
『恋人たち』を観たことがきっかけで、出演オファーをかけたエピソードや撮影中の仰天エピソードに会場からも笑みがこぼれました。

最後の挨拶で橋口監督は、この映画が素晴らしかった点として改めて「僕は、痛みが誠実に描けていたこと」と断言。
「ぜひ口コミで拡散してあげてください」と、愛に溢れたエールを贈りイベントは締めくくられました。