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映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』× 映画『ぼくのお日さま』コラボ企画!阪元裕吾 × 奥山大史 × 池松壮亮 登壇イベントレポート≪後編≫。

2024/11/15(金)

11/5(火)@グランドシネマサンシャイン池袋、11/6(水)@テアトル新宿にて、会場を変えてそれぞれの作品上映後に「前半」「後半」と、二夜連続でのトークイベントレポートの後半です!

『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の阪元裕吾監督、『ぼくのお日さま』奥山大史監督、そして 『ベイビーわるきゅーれ』では最狂すぎる殺し屋 冬村かえで役を、『ぼくのお日さま』では優しすぎるフィギュアスケートの荒川コーチ役を演じた池松壮亮さん、聞き手に映画評論家の森直人さんを迎え、イベントがスタート。第二夜となる『ぼくのお日さま』上映後の「後半」では、阪元監督、奥山監督、池松さんの3人が、『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』のTシャツ(黒)=池松さんは、撮影現場で配られたスタッフTシャツ、阪元監督と奥山監督は、まひろ役の伊澤彩織さんがデザインしたナイスデイズの物販Tシャツを着用して登場!

MCの森さんから、客席へ昨日から二夜連続でご覧になった方をたずねると約半分の方の手が上がり、本日『ぼくのお日さま』をはじめて見た方という問いも約半分ぐらいの方が挙手。まず奥山監督から「『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』にすごく感動して、 阪元監督と1回お話ししてみたいなと言ったらこういう大きな形になって。受け入れてくださった『ベイビーわるきゅーれ』の皆さんに本当に感謝していますし、『ベイビーわるきゅーれ』が好きで、そこから今日来てくださった方も本当にありがとうございます。」と挨拶。つづけて、阪元監督から「同い年で、同じタイミングで池松さんというご縁がありまして、この場に呼んでいただけたこと、本当に感謝します。僕も劇場で『ぼくのお日さま』を観て、すごく素敵な作品だなと思ったので、こんなバンドみたいな対バンイベントって映画ではなかなかないと思うので、最後までぜひ楽しんでいただければ」と挨拶しました。

そして、この対バン企画の立役者となった池松さんは、「こういう企画は、いままで成立してこなかったと思うんです。同時期公開の映画と映画はライバルだったりしますし。そんな中で、自分がやりたいと思うことを突き詰めて、作品を送り出した新しい世代の期待の星である2人の監督が共に語るイベントが実現できて、本当に素晴らしいなと。この場に立ち会っていただいて、ほんとにありがとうございます」と感謝を伝えました。
MCの森さんから「監督2人とも1996年の早生まれ。 阪元監督が1月、奥山監督が2月、大阪生まれと東京生まれで、西と東の違いはあるんです」と紹介。さらに「作風的には生息地域が全然違う、というか別の星からやってきたくらい違うと思うんです(笑)。でも、昨日のトークを聞いていたら、2人がもし同じ高校で出会っていたら仲良くなってたんじゃないかなと。そこでどんな映画の話をするのかも気になります(笑)」というふりが。

阪元監督は「自分は『パシフィック・リム』をリアタイして、『バトルシップ』とかそういった作品の方向にそのまま進んでいきました」と話し、奥山監督は、1番最初に好きだなと意識した作品は、橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』で。そこから邦画をたくさん観て、それまでは、映画を作るというイメージが自分の中にあまりなかったのですが、作ってみたいと思えた大きなきっかけです。阪元監督は橋口監督作品を観てますか?」と阪元監督へ問うと、阪元監督は「いや、白石晃士監督とか…韓国のナ・ホンジンの『哀しき獣』とか。自分はバイオレンスでした(笑)」と返答。MCの森さんは「あれ?仲良くなってないかも(笑)」と感想をもらし、会場は笑いに包まれました。

そんな阪元監督は『ぼくのお日さま』の感想と聞くと、「エンドロールで最後に、奥山さんが撮影・編集って出てきて、ほんまにたまげて。すごい撮影やなと。あと照明が全部ほんまに美しい、完璧です。あと子供の息遣いが、すごいな思ったのと、編集がすごくて。90分っていう尺が今の自分の感覚にすごく合ってる・・・という言い方したらあれですけど、僕と同じ呼吸感のする方だなと思いました。特に思ったのが、『短編小説を膨らませたような作品が、本来映画にはふさわしい』というようなことを10年間ぐらい前に どなたかが言ってたんですけど、それがまさにこの作品というか。元々は短い話を映像で雄弁に語って90分にしていくという作り方が、僕も好きで。もちろん長い映画も好きで、いろんな要素が詰め込まれた映画も好きなんですけど。 僕は『ベビわる1』もそう思って作っていたから、すごく呼吸感の合う監督だと思いました。しかも自分で撮ってるし、ロケーションもどうやってこの湖やこのスケート場を見つけたんやろ?と。すごく聞きたいことがたくさんあるなって。本当に素晴らしい映画でした。」たっぷり語ってくれました。

MCの森さんが、「昨日、奥山監督も『ベビわる』について余白っていう言葉で近いことを語られてましたね」と話をふられると、
奥山監督は「編集のテンポで言うと『ベイビーわるきゅーれ』の緩急というか、アクションで密度の濃いところと余白の部分をあえて行ったり来たりする感じは、 自分がカット割りや編集を考える時、今回の湖のシーンみたいに詰め込みたいシーンと、池松さんと若葉さんが2人で話すシーンのように、ワンカットで淡々とスローテンポの会話をじっくり捉えるシーンとで、メリハリつけたいという感覚があって。それを『ベイビーわるきゅーれ』にも感じたし、そこが1番好きだったところなんです。」と回答しました。

そして、「ぼくのお日さま」での池松さんの演技に関する話題へ。阪元監督は「荒川は、僕が接している池松さんのイメージに近いですね。冬村は、当然、池松さんはあんな人ではないので(笑)子供たちへの接し方とか、若葉竜也さんと話している時とか、すごくナチュラルないつもの池松さん。どのぐらい役と自分との乖離があるのかも気になりました」となげかけると、
池松さんは、「荒川に対しても、冬村に対しても、あんまり乖離は感じてないかもしれないです。自分の中にある要素を引っ張り出してきてるのかも。どちらのキャラクターは遠い感じはしてないですね」と答えました。

現場でのお2人の監督ぶりについて聞かれた池松さんは「素晴らしいですよ。どこで身につけたんだろうというくらい。お2人とも。さっきの話聞いてて思ったけど、やっぱすごく専門性が高いですね。阪元さんは本当にいわゆるジャンル監督を撮れる人が、このタイミングで現れるんだっていう驚きがありましたし、奥山さんに関してもスケート映画って誰も撮ってこなかった。やっぱり撮影の中で独自の専門性を身につけている。その上で、自分のアイデンティティの中にとどまってない。 本当にお客さんの方向を向いている。2人とも本当にたぶん懐が大きいんだろうなと思いました。なんかお客さんを選んでるようで選んでいない感じがするというか」と答え、2人を絶賛しました。
最後に2人に期待することを問われた池松さんは「とにかく自分のペースで、これまでのセオリーを無視してもいいので、本当に自分が好きなように撮っていってほしいです。それを見たいですね」と話しました。

最後の挨拶として、奥山監督は「今日はありがとうございました。『ぼくのお日さま』を初めて観てくださった方がいたことは本当に嬉しいです。まだ『ベイビーわるきゅーれ」を観てない方は、本当にぜひ観てください。『ぼくのお日さま』が好きだった方も、池松さんとの違いをすごく楽しめると思いますし、この企画をやった甲斐があるなと思うので、ぜひ観に行って感想を広げていただけたらと思います。今日はありがとうございました。」とはなし、阪元監督は「映画公開って刹那じゃないですけど、そういう瞬間を共有できる仲間といいますか、 ライバルでもあり仲間でありっていう『ぼくのお日さま』という作品とこうやって巡り会えたことが本当に嬉しく思いますし、感謝しております。まだまだやられますもんね。なので口コミなどで皆さん広めてナイスデイズもぜひ2本立てで見ていただけたらとっても嬉しいです。このTシャツも、映画館の名前は言えないですけど、いろんなところで売ってるんでぜひ買ってください」と話しました。
池松さんは「2本見ていただいた方、それぞれ見ていただいた方、本当にありがとうございます。 2人が話してるこの感じが、なんていうのか素晴らしくて、微笑ましくて。タクヤとコウセイを見ているよう。コウセイっていうのはタクヤの親友の。なんかほっこりしました。もう十分すでに偉大なお2人と、こうして今年同じ年に映画をやれたことが本当に楽しかったですし、これからも互いに刺激し合いながら、ちゃんと手を組んで映画を盛り上げていければなと思っています。 ほんとに今日はありがとうございました。」と締めくくると、会場からは大きな拍手がおくられました。